「スキーが上手い人はインラインが上手いが、インラインが上手い人はスキーが上手いとは限らない。」
この現象について説明していきます。こういった事をスキーヤーの方が発言する事がありますが、私はこれは誤解かと思います。
そもそもここで言う「上手い」とはどのレベルでしょう?勿論”スキーが上手い人は”の「上手い」と”インラインが上手い”の「上手い」は同じレベルではないでしょう。全く同じ動きが出来るわけはないですからね。
仮に、本職の方の「上手い」をFISレーサーレベル、本職でない方の「上手い」を草レーサーレベルとします。
ではインラインで国際大会に出るレベルに上手くて、でもスキーをした事ない人が、スキーでいきなり草レーサーに勝てるでしょうか?普通勝てないですね。
そうです「インラインが上手い人がスキーが上手いとは限らない」です。
一方、FISレーサーレベルのインラインをやった事がないスキーヤーが、インラインで滑ったらどうなるでしょうか?
その優れた運動能力とバランス能力で、短い練習時間ですぐに坂道が滑れるようになると思います。
では、その滑りをインラインの人から見てどう見えているのか?
それは、ほのぼのと滑るファミリースキーヤーです。「パパ、さすが上手だね!パラレルターン出来てるよ!」というレベルです。勿論、スキーにおける草レーサーレベルのインラインスケーターには勝てません。
因みにインラインのエキスパートも、スキーを履いて短い練習時間ですぐに斜面を滑れるでしょう。
同じ事です。
「スキーが上手い人はインラインが上手いとは限らないですし、インラインが上手い人はスキーが上手いとは限らない。」
という事です。
ただし、ここでの本職ではない方の「上手い」をファミリースキーヤーレベルに置き換えれば
「スキーが上手い人はインラインが上手いですし、インラインが上手い人はスキーが上手い。」
と言えるでしょう。
その上で、ここまでの内容でまだしっくりこない方の為に補足説明します。
「スキーが上手い人はインラインが上手いが、インラインが上手い人はスキーが上手いとは限らない。」という誤解を招いてしまいがちな理由がいくつかあります。
1.上手いスキーヤーは既にインラインのトレーニングしている可能性が高い
インラインはお手軽で比較的一般的なオフトレです。上手いスキーヤーが行ってきた膨大なトレーニングの中で、インラインを全くやってこなかったという人は少ないのではないでしょうか?
そういう人がインラインを滑れるのは当然です。スキーが上手いからインラインが滑れているわけではなく、インラインを練習したからインラインが滑れているという事です。
2.インラインスケートの競技のレベルが平均的に高くない
スキーの草レーサーと言えど、月に何度もスキー場に足を運び、最新に近いマテリアルを入手して、オフにもトレーニングまでしちゃったりします。このレベルのインラインの人は多くありません。このレベルで努力すればインラインの国内の大会では上位、場合によっては入賞できるでしょう。つまり、上記の草レーサーレベルのインラインスケーターというのは国内大会の上位者という事になります。
3.スキーの方が技術理論体系がしっかりしている
こんな姿勢で、こういう筋肉を使って、こういう動きをして、そんなうんちくはインラインではまだあまり周知されていません。理論だった上手そうな滑りの見た目を作る事にはスキーヤーの方が長けています。
何より、その見た目のジャッジをするのは「スキーが上手い人はインラインが上手いが、インラインが上手い人はスキーが上手いとは限らない。」と言っているスキーヤーなので、当然スキーヤーの技術理論体系にマッチした動きをしている方を評価するのは当然です。
熱心に取り組まれるスキーヤーの方が競技目線で「スキーが上手い」という事に厳しい目線で評価をする事は当然かと思います。何だよ、インライン凄くてもファミリースキーヤーレベルじゃん。と。逆に私から見て競技目線で「インラインが上手い」スキーヤーが国内にはほとんどいないと感じるのと同じ事かと思います。
ただ、一般的な目線で見た時に、初心者がいきなりスキー履いて滑れたら「上手い」ですよね。そういった点では、
「スキーが上手い人はインラインが上手いですし、インラインが上手い人はスキーが上手い。」と言えると思います。
※ここでのインラインとはインラインアルペン、インラインスキーの事です。スキーヤーはインラインと呼ぶことが多いのであえてその名称を使いました。